基幹理工学部および表現工学科に入ろうと思ったきっかけは?
― 表現工学科に興味を持ち、どうしても入りたくて、基幹理工学部を受験しました。
 もともと、子どもの頃からピアノをやっていたり、中学・高校では吹奏楽部でトロンボーンを演奏していたりしていて、音楽が好きでした。一時は音大に進学しようかと考えたこともあったくらいです。でも、将来を音楽だけに絞るのも自分らしくないと思い、音大への進学は断念しました。
 そんななか、理系の科目が好きだったので、音楽と理系の学問とを一緒に研究できないかと思いつき、両者を学べる大学・学部を探したところ、表現工学科を見つけたのです。
 オープンキャンパスや学園祭の時には、実際に見学に来たのですが、とても楽しそうで、これならやりたいことをできると思い、進学を決意しました。
これまでに受けた授業で、印象に残っているものは?
― たくさんありますが、あえて挙げるとするならば、「ビジュアル・プログラミング」という授業です。
 ここではプログラミングソフト「processing」の使い方を教わりました。この言語は、アニメーションを作ったり、画像に加工を加えたりすることがとても簡単にできます。こういうアートに関するソフトは知らなかったので、とても興味深く学びました。

大切なのは自分のやりたいこと。流されるのはもったいない。

「音」については、どのような授業を受けましたか?
― 音響学基礎や音声処理など、音に関する授業はすべて取りました。
 音響工学の目的の一つには、人にとって快適な音質・音空間をいかに実現するかということがあります。もちろん、その快適さは時と場合によって異なります。会議室には会議室に適切な、コンサートホールにはコンサートホールに適切な音空間を作る必要があります。僕が所属している研究室の及川先生は「音コミュニケーション」という授業では、耳の不自由な方のために、骨伝導などの情報伝達手段を教えていますが、人によっても、快適な音環境は異なります。TPOに応じた音質・音空間を実現するためには、音がどのような仕組みで伝わっていくかなどの学問的知識を持っていなければなりません。
具体的に、理系的な学問は「音」とどのように関わるのでしょうか。
― 実際には数学や物理の知識を活用するのですが、理論にもとづいて計算すると、ある音源を分離できたり、雑音を取り除いたりすることができます。それまで、数学や物理は理論的な部分でしか活用できないと思い込んでいましたが、実生活に使えることを目の当たりにして、とても興奮しました。
表現工学科の「表現」と聞くと、アートやものづくりを想像します。
― たしかに、ものづくりをやりたいと思う人にとっては、環境が整っていると思います。ですから、何かを制作したいという方にはお勧めの学科です。学科の中でも、音系、映像系、ロボット系などがあって、学べるジャンルは豊富だと言えるでしょう。
 もちろん、あくまで理工学部なので、理工的な学問はしっかりと学びます。しかし、実際には幅広い範囲を扱っていて、及川研究室のように、工学的な色合いが強いところもあれば、音と映像との融合を目指したり、音を利用した作品を制作したりする研究室もあります。工学的なアプローチをしたい人も、芸術的なアプローチをしたい人も、きっと求めている研究に出合えるでしょう。
音関係の研究だと、就職先が限られるのではないかという不安はありませんでしたか?
― そういう心配はありませんでしたね。長く吹奏楽やピアノをやっているなかで、ヤマハなどの企業が音響技術を研究しているのは知っていたので、自分の研究をちゃんとやっていれば、どこかしらで求められるだろうと思っていました。
受験生に対して何かメッセージをお願いします。
―  好きなものをやっていると楽しいし、興味のないことをやらなければならないとなると苦痛になります。ですから、自分のやりたいこと、興味のあることが何なのかを把握し、その道に進むことが大切だと思います。
 そう考えると、他人に流されたり、環境・状況に影響されたりして進路を決めるのは、とてももったいないことだと分かるでしょう。
 ですから、就職とか進路とかよりも、「自分は将来何をやりたいのか」「どうしたいのか」「どういう人間になりたいのか」という視点から、進路等を選択して欲しいですね。そうすれば、きっと後悔のない学生生活が送れると思いますよ。

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