所属する甲藤研(甲藤二郎研究室)では、どのような研究を?
― 無線ネットワーク品質の可視化です。具体的には、さまざまな経路を実際に歩いてスマートフォンの通信速度を計測し、かつ計算処理量から推測できる消費電力を算出することで、GoogleMap上にヒートマップを作成する作業を行っています。快適に通信しながら移動できる経路を、ユーザー自身が選べるようなナビツールを開発するのがねらいです。
特に難しいのは消費電力の推測ですね。例えば、時間帯やエリアによって電波塔に対するユーザーの集中率が変動するのですが、そうした回線の混み具合が、通信速度、受信データ量、計算処理量などに影響しています。それらを考慮した上で消費電力を推測するのですが、そのために必要な予測計算式についてまだ改善すべき点が多く、課題となっています。
情報通信に興味を持ったきっかけは何ですか?
― もともとスマートフォンが好きなのですが、もう生活の一部というか、常に触っているような状況です。ガラケーと比べると格段に使用時間が増えたと思います。そういう中で、やはり通信速度が遅いと気になります。
大学2年生の時、試しに地下鉄に乗りながら通信速度を測ってみたのですが、「場所によって通信速度が違うのって面白いな」と思いました。そこから興味が膨らみました。
研究で苦労していることはありますか?
― プログラムを書くのが苦手です。プログラムが思うような挙動を示さないと、時には何週間も研究が中断してしまいますので、プログラミングの知識は重要だと思います。現在、ブラッシュアップのため、企業との共同研究で電波を処理するプログラムを書いています。

受け身ではなく、自分から発信していくことが大切

甲藤研の魅力って何ですか?
― これをやりなさい、あれをやりなさいというのではなく、自主性を尊重してくれるのが甲藤研の良さだと思います。研究を進めていく上では苦手な領域にもぶつかりますが、類似研究をしている先輩に相談しながら研究を進めています。また、甲藤研では、修士に進学する学生については学部4年次に学会発表をする機会があります。私も昨年、NS(電子情報通信)研究会で発表する機会を頂きましたが、聴講者は企業の方がほとんどで、大きな刺激を受けました。
そこでは、どのような発表を?
― 電車などで移動しながら動画を見る人は増加の一途をたどっていますが、ネットワーク接続が中断してしまったり、フリーズしてしまうなど、通信の安定性にはまだ多くの課題があります。 
私自身は、その研究の一環として、ネットワークを学んでいる同期と一緒に、駅構内や電車内における動画配信の品質変動について実機実験を行ってきました。学会では、その分析結果について発表しました。
大学生活で、研究のほかに打ち込んできたことは?
― 早稲田大学交響楽団(通称ワセオケ)に所属し、バイオリンを演奏していました。今年3月に引退するまで、オケ一筋でしたね。バイオリンは4歳からやってきましたが、ずっと独奏だったんです。オケに入って、他の人と音を合わせるのって、本当に楽しいなと感じるようになりました。研究がうまく行かず落ち込んだ時などは、バイオリンを弾くと心が安らぐんです。
研究室に閉じこもらず、さまざまな領域で学んでいる友だちと触れ合うのも、私にとっては大切な時間でした。締めくくりのヨーロッパツアーでは、ドイツ、オーストリア、フランスで観客の皆様から温かいスタンディングオーベーションを頂き、本当に感動しました。
受験生の皆さんにメッセージをお願いします。
― 高校時代は、授業や時間割がほとんど決められているので受け身になりがちですが、大学では、自分からアクションを起こしていくことが大切になります。自分から周囲の人に積極的に話しかけて、交友関係を広げていくことが、大学生活を充実させる秘訣だと思います。

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