2014.04.01

基幹理工学部の進化

基幹理工学部長/基幹理工学研究科長 大石 進一

理工学部が3学部に分割してから、早いもので8年目になる。基幹理工学部は機械系や電気系の学科をもとにしている学科など100年にわたる伝統がありながら、8年前の基幹理工学成立時に誕生した学科や改革で内容が変更された学科から構成され、すべて新しい学科となった。一括入試と進級振り分け制度が導入され、一年生は同じカリキュラムで一年間過ごし、その後、自分の適正を判断して学科に進級する。旧理工学部では学科別入試であったので、これは新しい試みであった。これによって学科の内容を知ってから学科を選べることや基幹理工学部の各学科に友達ができるなどの特長が得られた。これを生かして、副専攻制度が2年前より導入され、基幹理工学部内において複数の学科にまたがる学習ができるようになった。約10%の学生が副専攻に興味を持ち、実際には約6%の学生が学際的な勉強をしている。また、本年度より、情報通信学科が新設された。12年前に解体した電子通信学科や国際情報通信研究科を発展的に継承する学科で、従来、情報通信分野を担当していた情報理工学科と連携しつつも両科ともカリキュラムの専門性が増し、学生がより専門性を高めた勉強をしやすくなった。さらに、学系別入試を開始し、今年度(2014年度)生がその最初の入学者となる。進級振り分け制度は維持しながらも,進級する学科については、3つの学系の中から選ぶようになり、入学時にある程度の方向性を決めることができる。従来は95%の学生が希望の学科に入っていたが,これが100%に近くなることを期待している。

基幹理工学部は数学をベースとして、数学自身を学ぶ学科、数学や物理を基礎として工学を展開する学科や芸術・表現と工学の連携を目指す学科からなる。数学は知識の集まりという意味であり、人類の経験を言語によって普遍的に誰でも理解できる形に集められた知識である。したがって、知を追求する所には数学が普遍的に存在する。特にギリシャを起源として、仮定や公理を明確にして、論理によって定理を証明するようになり、これが現代科学の基礎を形成した。工学は数学や自然物を利用して、人に役立つ人工物を創造する営為である。航空機、コンピュータ、インターネットに代表される現代の壮大な工学的な構築物も、こんなものがあったらよいという人の夢を。科学的に実現するという営為によって作られてきた。数学も工学も科学という普遍的な原理によって誰でも理解できる形でつくられるが、なぜそのような知的営みを行うのか、夢を持つのかは人の心が決める。このような営為のもとは芸術や人の心の表現に深く関わり、基幹理工学部ではこのような分野についても表現工学科等において教育研究を行っている。

さて、大学は最高学府である。そこでは人類の知が継承され、さらに未知なるものも追求される。皆さんはその中に入り、人類の得た知識の先端まで学習することになる。わくわくとするような体験をすることができると思う。同時に、このような知の追求をする主体者として、何故夢を追うのか、それは人のためにどのような意味をもつのかなど、人としての経験や厚みを増し、次世代の社会を支える思慮深い人になって欲しいと思う。次の社会を担うのは君たちである。

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