研究の内容を教えてください。
― ヒートポンプの効率を上げるための研究をしています。ヒートポンプとは、少ない投入エネルギーで熱を移動させる技術で、身の回りにあるエアコンや冷蔵庫などに使われています。ヒートポンプはシステムの中を循環している冷媒が蒸発する際に熱を奪う作用を利用して、空気や水を冷やすことで冷房を、逆に凝縮する際に熱を与える作用を利用して暖房を行える仕組みとなっています。
一般的なヒートポンプは電気やガスによって動くシステムですが、私の研究では工場の廃熱や太陽熱などの未利用エネルギーを利用して駆動可能なシステムをつくろうとしています。この技術が実現できれば再生可能エネルギーを有効利用できるようになり、CO2の削減にもつながります。

具体的にどのような作業をしているのですか?
― 学部4年生のときには、1年間、ヒートポンプのシミュレーションモデルを作成したり、実験装置を作ったりしていました。3年生までは授業で基礎を学ぶことが主体だったので、実験装置の導入にシステムの設計から関わることができたのは、良い経験だったと思います。
今年度(2015年度)からは、一年かけて作り上げた実験装置を使用して、ヒートポンプの性能調査をしていきます。配管のバイパスを調整したり、熱交換器を入れたり、冷媒自体に工夫をすることも検討しています。やっと出来上がった実験装置を使えるので、とてもわくわくしています。

Airbus社の「fly your ideas」にチャレンジ

機械科学・航空学科を選んだのは?
― エネルギー問題に関心があって、その中でも再生可能エネルギーに関わることがしたいと思っていました。石油を始めとする化石燃料は量的な限界がありますし、環境負荷も大きいので、代替エネルギーが求められています。また、産油国の生産調整により、世界の緊張や、紛争の遠因にもなってしまっているのが現状です。エネルギー問題の解決は人類的課題と言えると思います。それくらい「大きなことがしたい」という思いがありました。
最初から機械科学・航空学科に進もう!と決めていたわけではなくて、電子物理学科や情報系にも興味がありました。一年間、学科のことを知る機会が沢山ありますから、どの学科に進もうか悩んでいる人にとっては、基幹理工学部がおすすめです。
機械科学・航空学科は女性がいないというイメージがあるかもしれませんが、1割り程度が女性ですし、1年生の学系別クラスでは情報理工、情報通信、電子物理と一緒のクラスなので、女性の友達をつくる機会が多いのも良いところだと思います。

研究以外に取り組んでいることは?
― Airbus社の「fly your ideas」というアイデアコンテストに研究室のメンバーと参加しています。航空産業に関するアイデアであれば、何を提案しても構わないというコンペティションで、私たちは「宇宙太陽光発電(SSPS)に中継機として航空機を導入し、太陽光パネルで受けた電力を地上に送電する」という提案をしました。
3ラウンドまで審査があり、現在その1ラウンドを突破しています。1ラウンドで約600チームから100チームに選抜されるのですが、日本からは早稲田と東大の2チームが突破しました。
先日もフランスにいるAirbus社の方と電話で会議をしました。会話や発表はすべて英語なので、細かいニュアンスが伝わらず大変な面もありますが、チームのメンバーで協力して第2ラウンド突破に向けて頑張っています。活動自体はJAXAや企業に見学に行ったり、技術者の方に直接アドバイスをいただいたりと、とても充実しています。自分の研究だけでなく、自発的に面白いことをやってみようという気風がある研究室です。

http://www.airbus-fyi.com/teams/2252/our-boss (OurBOSSチームライン)

基幹理工学部・研究科へのお問合せ

受付時間:月〜金 9:00〜17:00、土:9:00〜14:00
〒169-8555 東京都新宿区大久保3-4-1
TEL:03-5286-3000 FAX:03-5286-3500
Email:fse-web@list.waseda.jp
入試に関するお問合せはこちら

Copyright ©Waseda University All Rights Reserved.