研究内容について教えて下さい。
ー 地球から月へ行く探査機の軌道設計について研究しています。研究のねらいは、航行時間の短縮や燃料消費の抑制です。私はとくに後者を重視して考えています。必要な燃料を少なくできれば、より多くの実験機器を搭載することが可能となります。
具体的には、天体の重力や動きなど、さまざまな影響を考慮して「探査機がどのような運動をするのか」という式を導き出し、シミュレーションを実施します。基本となるのは高校の時に習ったニュートンの運動方程式なのですが、地球と月の2体だけではなく、太陽など他の天体からも影響を受けますので、どこに行くかまったく分からないカオス現象が起こり、予測は複雑かつ困難になります。ただし、カオスを引き起こす不変多様体(チューブ)の領域内に探査機を投入すれば、自然に輸送されるというメカニズムは明らかになっていますので、その幾何学的性質を応用して、「3体問題」という多体系の枠組みに基づき設計を行っています。
機械科学・航空学科を選んだ理由は?
ー もともと、ものづくりに興味がありました。また、純粋に物理が好きで、「なぜ、こういうことが起こるのか」という理学的な現象にも興味がありましたので、抽象的なことよりも、実生活とリンクしてイメージできるテーマに取り組みたいと考えました。
機械科学・航空学科は、数学と機械工学の要素がバランスよく融合している分野です。軌道設計には数学的な知識が、燃料消費を抑制する上では機械工学的な知識が求められます。計算がスムーズにいくと本当にハッピーですね。
基幹理工学部、そして吉村研究室の魅力とは?
ー 早稲田の基幹理工学部は、名前のとおり物事の本質を根幹から学べて、「本物の研究」ができる場所。コミュニケーション能力の高い人たちがたくさん集う場所。そして、プライドにとらわれない、素直で謙虚な人たちが切磋琢磨している場所だと私は感じています。
吉村研究室は、機械科学・航空学科の中でも数学や理学的な探究が好きな方にぴったりだと思います。私自身、ひとたび「なんだろう、これは?」と気になると、コツコツ時間をかけてでも、明確に理解しなければ気が済まないタイプなんです。基礎の基礎を固めて大いに応用できるのが、吉村研究室の魅力です。

職人のように、研ぎ澄まされた一級の研究者を夢みて

将来はどのような道に進みたいとお考えですか?
ー 世界各国のプロフェッショナルに認められる研究者になりたいです。研究者になるのは、高校生の頃から抱いてきた夢。
研究に研究を重ねて、オリジナリティのあるアイデアを発表できる段階までもっていきたいです。現在、日本学術振興会の特別研究員(DC1)なのですが、博士号を取得できたら、さらに高いランクの特別研究員(PD)にアプライするつもりです。
世界を舞台に活躍するには、英語力も不可欠ですね。
ー 修士になると、学会発表などで英語を使います。私は修士在籍中に1ヶ月間、カナダへ出張する機会をつくっていただきました。当初はまったく話せませんでしたが、帰国する頃には多少話せるようになっていましたよ。発表は質疑応答の準備も必要ですから、今でも1日中繰り返して、ほとんど覚えてしまうほど練習します。
研究以外に打ち込んできたことはありますか?
ー 小学生から高校生までを対象とした塾講師のアルバイトです。オープニングスタッフとして約6年間、皆で土台から築きあげる充実感を味わってきました。このアルバイトがきっかけで教育者としての道にも興味をもつようになったので、将来は大学に残って研究を続けたいと考えています。
最後に、今後の抱負をお聞かせ下さい。
ー 「何でもやってみる」。これが私のモットーです。失敗を恐れず、世界中で私にしかできない研究の道を開いていけるよう頑張ります。

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