

Q研究内容について教えて下さい。
― 放送、無線LAN、携帯電話など様々な通信システムに使われているOFDMという伝送方式の研究をしています。
無線通信では、使用する周波数の幅が広くなる程良好な通信が可能になります。しかし、電波法という電波に関する法律により、各システムで使用可能な周波数の幅が規定されているため、規定された周波数からの電波の漏れを防ぐために一定レベルまで電波を抑えなければなりません。規定された基準を満たすには、使用する周波数の幅を狭くしたり、電力を下げるといった方法があるのですが、それに伴って通信速度や品質が低下してしまいます。私の研究では、これらの方法を取らずに、理論的にもっとも効率的な電力レベルを算出することにより、良好な通信を実現する方式を提案していました。
― 放送、無線LAN、携帯電話など様々な通信システムに使われているOFDMという伝送方式の研究をしています。
無線通信では、使用する周波数の幅が広くなる程良好な通信が可能になります。しかし、電波法という電波に関する法律により、各システムで使用可能な周波数の幅が規定されているため、規定された周波数からの電波の漏れを防ぐために一定レベルまで電波を抑えなければなりません。規定された基準を満たすには、使用する周波数の幅を狭くしたり、電力を下げるといった方法があるのですが、それに伴って通信速度や品質が低下してしまいます。私の研究では、これらの方法を取らずに、理論的にもっとも効率的な電力レベルを算出することにより、良好な通信を実現する方式を提案していました。
Qこの分野に興味を抱いたきっかけは?
― 学部3年終了時の研究室配属で、数ある研究室の中で強く心を惹かれたのが、「無線通信」を研究テーマとする前原研究室でした。いまや1人1台スマートフォン等の携帯電話を持っている時代です。その点、「学問の利益を生活者がどう享受するのか」というアウトプットが非常に明解ですよね。
また、「送信側から受信側に、どの程度の確率で電波が届くか」を考えるには、微分積分をはじめ数学や物理の知識をフルに使います。
例えば、線形代数を専門とする数学の研究者が、最新の通信方式を提案するケースもあるように、学問的に美しければ、おのずと高い成果が出ることが多くあります。これまで培ってきた基礎学問が存分に活かせるのも、通信工学の魅力です。
― 学部3年終了時の研究室配属で、数ある研究室の中で強く心を惹かれたのが、「無線通信」を研究テーマとする前原研究室でした。いまや1人1台スマートフォン等の携帯電話を持っている時代です。その点、「学問の利益を生活者がどう享受するのか」というアウトプットが非常に明解ですよね。
また、「送信側から受信側に、どの程度の確率で電波が届くか」を考えるには、微分積分をはじめ数学や物理の知識をフルに使います。
例えば、線形代数を専門とする数学の研究者が、最新の通信方式を提案するケースもあるように、学問的に美しければ、おのずと高い成果が出ることが多くあります。これまで培ってきた基礎学問が存分に活かせるのも、通信工学の魅力です。
理系の学問は、付け焼き刃では歯が立たない
Q社会人になるまでは、どのような勉強を?
― 通信、情報処理、プログラム言語などの基礎を徹底的に学びました。時には、通信工学に特化した深い調査や学習も行いました。私は博士課程1年次に公務員試験を受けたのですが、特に理系は基礎学問の力をしっかり問われるので、付け焼き刃では歯が立ちません。基幹はまさにその土台を築く教育環境が整っていると思います。
― 通信、情報処理、プログラム言語などの基礎を徹底的に学びました。時には、通信工学に特化した深い調査や学習も行いました。私は博士課程1年次に公務員試験を受けたのですが、特に理系は基礎学問の力をしっかり問われるので、付け焼き刃では歯が立ちません。基幹はまさにその土台を築く教育環境が整っていると思います。
Q現在のお仕事について教えて下さい。
― 総務省移動通信課で、移動通信システム用の周波数の割当てや、携帯電話事業者等に対する基地局等の許認可手続きを担当しています。電波の混信の有無をチェックするなど、無線通信に関する高度な技術的知見が求められる業務です。
― 総務省移動通信課で、移動通信システム用の周波数の割当てや、携帯電話事業者等に対する基地局等の許認可手続きを担当しています。電波の混信の有無をチェックするなど、無線通信に関する高度な技術的知見が求められる業務です。
Q多忙な中でも、研究に意欲を燃やし続けていらっしゃるんですね。
― 周波数をどう有効利用するか。スマートフォンの通信速度をどう上げるか。通信工学は、こうした日本の国内に閉じないグローバルな課題に挑戦できる分野です。自分の研究成果を世界中の研究者や企業人に見てもらえますし、採用されれば国や世界のスタンダードとなる。これは大きな醍醐味ですね。
一方で、私は学生時代に企業との共同研究をさせて頂いていましたが、そのような場合は企業との二人三脚ですから、学生とはいえマイペースで進めるわけにはいきません。研究そのものに終わりはありませんが、期限内に達するべきレベルの目標があるわけです。研究の過程では、こうだと思い込んでいたものがうまくいかなくなることも多々あります。深く考えなければならない反面、スピードも重視されるというのが、体力的にも精神的にもきついところです。
― 周波数をどう有効利用するか。スマートフォンの通信速度をどう上げるか。通信工学は、こうした日本の国内に閉じないグローバルな課題に挑戦できる分野です。自分の研究成果を世界中の研究者や企業人に見てもらえますし、採用されれば国や世界のスタンダードとなる。これは大きな醍醐味ですね。
一方で、私は学生時代に企業との共同研究をさせて頂いていましたが、そのような場合は企業との二人三脚ですから、学生とはいえマイペースで進めるわけにはいきません。研究そのものに終わりはありませんが、期限内に達するべきレベルの目標があるわけです。研究の過程では、こうだと思い込んでいたものがうまくいかなくなることも多々あります。深く考えなければならない反面、スピードも重視されるというのが、体力的にも精神的にもきついところです。
Q博士課程で学びたい気持ちはあるものの、就職を考えて躊躇してしまう人もいます。
― 世界的にみると、博士号を取得し、何年か研究を重ねてきて初めて一人前の研究者として扱ってもらえるというのが実情です。行政官について言えば、海外との調整も多いので、専門性を問われる際には博士号の有無も大いに影響すると思います。まずは、自分の研究について理解してくれている指導教員によく相談することが大切だと思います。
― 世界的にみると、博士号を取得し、何年か研究を重ねてきて初めて一人前の研究者として扱ってもらえるというのが実情です。行政官について言えば、海外との調整も多いので、専門性を問われる際には博士号の有無も大いに影響すると思います。まずは、自分の研究について理解してくれている指導教員によく相談することが大切だと思います。
Qグローバルな研究ですが、国際会議の経験は?
― 私は、修士の時に初めてパリの国際会議に参加しました。何か一つでも、世界に向けてアピールできる材料がないと、海外には行けません。学部時代にその材料を一生懸命作ってきました。その後も、シリコンバレーやラスベガスなど無線通信のメッカであるアメリカでの国際会議に度々参加させて頂きました。
― 私は、修士の時に初めてパリの国際会議に参加しました。何か一つでも、世界に向けてアピールできる材料がないと、海外には行けません。学部時代にその材料を一生懸命作ってきました。その後も、シリコンバレーやラスベガスなど無線通信のメッカであるアメリカでの国際会議に度々参加させて頂きました。
思考力の土台となる基礎的な学問への取り組みが大切
Q最後に、基幹を目指す皆さんに一言お願いします。
― 受験生の皆さんは、いま頑張っている勉強を、ぜひ大切にして欲しいです。「これが何の役に立つんだろう」と疑問を感じている人もいるでしょう。基幹では大学入学後も基礎学問をやることになりますから、「どこに出口があるんだろう」と不安がよぎるかもしれません。
しかし、今までに無い新しいものを何か考えようとした場合には、思考力の土台となる基礎的な学問の知識が役に立つときが多々あります。また、働きながら学位取得を目指す方は、限られた時間の中で、いまの自分にとって一番必要な学問が何であるかを見極めるためにも、周囲の人にアドバイスを求めることをお勧めします。
― 受験生の皆さんは、いま頑張っている勉強を、ぜひ大切にして欲しいです。「これが何の役に立つんだろう」と疑問を感じている人もいるでしょう。基幹では大学入学後も基礎学問をやることになりますから、「どこに出口があるんだろう」と不安がよぎるかもしれません。
しかし、今までに無い新しいものを何か考えようとした場合には、思考力の土台となる基礎的な学問の知識が役に立つときが多々あります。また、働きながら学位取得を目指す方は、限られた時間の中で、いまの自分にとって一番必要な学問が何であるかを見極めるためにも、周囲の人にアドバイスを求めることをお勧めします。