Concept

実際に自分の手で情報システムを構築できる人材を育成

情報理工学科および情報理工・情報通信専攻では、先端技術をソフトウェアとハードウェアとの両面から総合的に学び実際に情報システムを構築することを通じて、世界の先端技術の発展に貢献できる人材の育成を目指しています。
Curriculum

カリキュラムの構成とポイント

[専門必修科目]

プログラミングA~C、情報数学A・B、アルゴリズムとデータ構造A・B、回路理論A、
論理回路、電子回路、コンピュータアーキテクチャA・B、情報理工学実験A~C、
情報通信ネットワークA、言語処理系、ソフトウェア工学A、オペレーティングシステムA、プログラミング言語、データベース、卒業論文A・B

[主な専門選択科目]

情報系の生命学、高性能計算、生命情報処理とICT、情報系の電磁気学、プロジェクト研究A・B、量子情報入門、ソフトウェア工学B、オペレーティングシステムB、計算知能論、情報社会論、IT経営プロジェクト基礎、システム開発プロジェクト基礎、コンピュータグラフィクス、自然言語処理、情報セキュリティ基礎、分散組込み・リアルタイム処理、データマイニング
 酒井先生のご専門は?
― 一言でいえば「情報アクセス」です。具体的には人が何かを調べたいと思った時点から、その要求を満たすまでを研究対象としています。代表的な情報アクセスツールは、グーグルなどの検索エンジンです。正確に検索するためには、私たちの言語をコンピュータなどのシステムに理解させる必要がありますから、「自然言語処理」も研究対象に入ります。
 もちろん、「情報アクセス」の研究は検索エンジンに限りません。
 検索エンジンで調べようにも、クエリの検索窓に文字を入力できない場合があります。たとえば、自動車で移動していて、文字を入力できなかったり、周囲の環境が騒がしく、音声入力もできなかったりするケースが想定できます。また、そもそも、どんな情報を求めているのかが本人にも分かっていない場合もあるかもしれません。こうしたケースも「情報アクセス」の研究対象なのです。
 この場合の解決策として、システムの方から情報を提案する形が考えられます。スマホが「現在、あなたに必要な情報は○○です」と話してくれたら便利だと思いませんか?
 そのためには、ユーザーの情報や状況を、システムが理解していなければなりません。したがって、ユーザーとシステムが対話しながら学習するという「インタラクション」も、私たちの研究のキーワードになります。

情報アクセスの守備範囲は広大

 具体的にはどのような研究をされているのでしょうか?
― 現在取り組んでいるのは、ユーザーとシステムとが私たちの言葉で自然な対話をできるようにするための研究です。たとえば、twitterなどでつぶやくと、他のユーザーからコメントなどの反応が返ってきますが、このレスポンスをシステムにやらせるのです。この時、システムができる限り自然な形でユーザーの求めている情報を提供できるように研究しています。
 研究室で学生とともに取り組んでいる研究は、もっと興味深いかもしれません。
 ある学生は、頭に脳波を調べる電極を付けて授業を受けて、どの授業にどんな反応するかを調べて授業評価をしていました。「情報アクセス」とはまったく無関係だと思うかもしれませんが、私たちにとっては脳波もユーザーが発する情報の一つです。それをシステムが読み取り、適切な反応ができれば、立派な情報アクセスなのです。他には、新聞記事を話題ごとに分類するシステムや、言語横断検索システム――日本語で入力したキーワードを他の言語に変換し、他の言語のホームページを検索し、そのページを再び日本語に訳して検索結果を提示する――の構築を研究した学生もいました。
 酒井先生は長年企業に勤められていたそうですね。企業と大学との違いは?
― 企業と大学との違いは、企業の方がとにかく多様で大きなデータを持っていることでしょう。いわゆるビッグデータです。マイクロソフト研究所では検索エンジンBingのログデータを使った研究を行っていましたが、通常、外部の人は企業のデータにアクセスできません。
 では、大学で何ができるのかというと、小規模でも新しいシステムを開発することです。これは長期的な視野に立ったり、採算を度外視したりしなければできません。企業には難しいことなのです。
 少し地味なのですが、私の研究のなかで「新しいシステムを評価するための方法」があります。いろいろなところで、好き勝手に研究するのはあまり効率的ではありません。これまでの研究を共有し、その上に新しい研究を積み重ねてこそ、大きく進歩できます。例えば、現在最先端のシステムと比較して、自分の開発したシステムが、どのような場合にどの程度優れているかを明らかにする必要があります。
 この研究は、様々な研究者にひとつの課題を出し、どの技術で、どんな結果を出すのかを共有するコンテストのようなものを開催することによって推進しています。
 このような情報共有を続けていくことで、企業の開発にも貢献できるでしょう。どの学科でも、企業と大学は相互補完関係にあると思いますが、それは本学科でも同様です。実際に、企業との共同研究は盛んに行われています。

実際に手を動かし、新しいことに挑戦して欲しい

 情報理工学科全体の特徴はどこにありますか?
― カリキュラムをご覧頂ければ分かるかと思うのですが、本学科では、プログラミング等のソフトウェアを、その基礎となる数学からしっかりと学ぶのみならず、電子回路などのハードウェアについても学習できます。情報系の学科とはいえ、ソフトとハードの両方をしっかりと学べるのが強みです。
 これで何が可能になるかというと、アイデアがあれば実際に作ってみることができるのです。学生のうちから、自分でプロトタイプを作って試せるのは貴重な経験だと思います。
 ですから、情報理工学科には、大きな夢を語るばかりの人ではなく、実際に手を動かしてやってみようとする行動力のある人が向いているかもしれません。
 最後に、受験生に一言。
― 早稲田の特色は、やはり学生の多様性です。面白い学生がたくさんいて、彼らが相互作用を起こし、さらに面白い発想が生まれたりします。ですから、自分でやってみたいことがある人や、面白い発想を持っている人には是非受験して欲しいですね。
 またIT関連企業など、時代の最先端にある企業への就職を考えている人にとっても、本学科は魅力的な選択肢になるに違いありません。基幹理工学部は研究者マインドを持った、世界で通用する人材の育成を目指しています。グローバルに活躍したい人もどんどん来て欲しいと思います。

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