2013.06.07

安全な空の旅・宇宙の旅の礎

最近、民間会社による宇宙旅行ビジネスが話題になっています。古くからの人類の夢を実現する宇宙船は奇抜な原理で飛行するものではなく、これまで長い年月で培われてきた材料力学・流体力学・熱力学およびメカニックス(力学)を基盤として成り立っています。これらを扱う学問が「機械科学」です。機械科学は、身の回りのあらゆる分野で必要不可欠で、輸送機器、情報通信、エネルギー、建設、通信機器、産業機械、医療、ロボット、素材製造その他各種製造業など社会の基盤を支えています。そのため、機械系の学科では幅広く課題に取り組んでいます。

この中でも、航空・宇宙分野は機械系の技術の最先端かつ極限まで進化した象徴的な学術分野であり、代表的な総合工学の1つです。航空宇宙分野から誘発される技術 連鎖・波及効果を生かすことによって、様々な分野を発展させることができるようになります。

ラッシュ時の山手線より短い!?
1時間あたり30本を越える滑走路の離発着機の間隔は

飛行機の離発着では、何よりも安全が第一です。滑走路上に2機の機体がいることは御法度なので、前の飛行機が滑走路から脱出しない限り、次の飛行機は滑走路に進入できません。また、飛行機を持ち上げる力である揚力を発生させるためには、翼の上面と下面での速度差が必要となりますが、プラントルの揚力線理論として知られるように、渦は翼の端から飛行機の後方に後引き渦として放出されます。後方を飛ぶ飛行機は、後引き渦による後方乱気流に巻き込まれないよう十分な間隔を空けて飛行しています。なお、飛行機雲が2本の筋になるのは、この後引き渦によるものです。

カプセルにあたる大気の温度は2万度!?
「小惑星からのお土産」を超高温から守るアブレータ

小惑星探査機「はやぶさ」は1秒間に12kmといった超高速で地球の大気圏に再突入しました。相対速度12km/sの空気がカプセルにあたりせき止められると、超高速の運動エネルギーが超高温の熱エネルギーとなります。衝撃波での並進温度は1万度を越え、カプセル表面も、3000℃になります。アブレータは昇華しガス化することでカプセルを超高温から守ります。
この技術をさらに高め、将来の有人宇宙船に繋げていくため、日本で開発されている宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)に、大気圏の再突入に耐えるカプセルを付加するHTV-Rの検討が、現在進められています。

機械科学・航空学科で学ぶこと

機械科学・航空学科では、学部と大学院の一貫教育を通して、最先端の研究に必要な基礎知識を深め、国際的にも通用する高度な研究者、技術者の育成を行います。このため、まず、冒頭にあげた4力学を中心として学び、それをベースとし、各々の分野の専門知識を学んでいきます。また、単に基礎学問の個別の修得にとどまらず、実験、実習や理論研究を実践し、問題の発見と解決力の高い資質を有する総合的な応用能力のある指導者を育成することを目指します。
また、我々は、工業製品を含め、この世の中のあらゆるものが、人間関係の上に成り立っているということを学んで欲しいと思っています。3年生から研究室に配属されることで、人との繋がりをより深めることができます。また、ゼミや卒業研究を通じて、個人というオリジナリティを堅持しながら、他者と協力することによって、ひとりではできないことを成し遂げることを実感して欲しいと思っています。

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