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Department / Major

あらわす、 つなげる、 うみだす ——応用数理は未来への扉

学科のコンセプト

早水 桃子
(ハヤミズ モモコ)
准教授 博士(統計科学)

応用数理学科では、数学科と連携した基礎教育をもとに、現象・情報・統計の3分野にわたる最先端の数理科学を学びます。科学の言語であり道具でもある数学を駆使して世界の理を描写し、新たな数理分野の開拓を目指すとともに、計算機上での自然現象の再現や社会現象の統計的予測など、多様な分野に関わるクリエイティブな研究を展開しています。工学や技術を拡げる数理研究を通じて、未来を切り拓く人材を育成します。

カリキュラム構成のポイント

  • 数学科と連携した高度な数学力の育成
  • コンピュータ・情報、確率・統計分野の専門教育
  • 物理・化学を数理の視点で学べる独自の講義と応用数理実験
  • 演習とゼミを通じた実践的な応用力の醸成
  • 4年次の研究室配属による最先端の応用数理研究への参画

Interview

学科・専攻の特色を教えてください。

データサイエンスが脚光を浴びている近年では、数理・情報・統計の専門知識に基づく洞察力と、実社会への応用力をあわせ持つ人材が、科学技術分野でもビジネスの世界でも大いに必要とされています。応用数理学科の最大の特色は、まさにそのような人材を育成しているところです。現実の課題を数学を駆使して解決するには、数学の知識だけでなく、それを異分野に結びつける力が必須です。応用数理学科では、数学科と連携した高度な数学教育に加え、応用数理学科ならではの実験や演習を通じてコンピュータ科学、統計学、ファイナンス、物理学、化学などの幅広い分野に数学を応用する方法を学べます。4年次の研究室配属で最先端の応用数理研究に挑戦できるのも魅力です。数学の美しさと実用性の両方を追求できる、とてもユニークで稀有な学科だと自負しています。

 

本学科・専攻が目指すものや求める人物像を教えていただけますでしょうか。

私たちが目指すのは、応用数理の力で世界に貢献する人材の育成です。数学を応用して現実の課題を解決するだけでなく、現実の課題や現象を数理的に考察することで新しい数学領域を開拓することも見据えて、研究と教育を行っています。高校までは、数学といえば黙々と抽象的な計算をするばかりで、現実の世界にどのように役立つのかピンと来ないかもしれません。しかし大学に入ると、数学が科学技術の言語といわれる理由を実感できるはずです。私たちは、高度な数学を学ぶことに興味があり、数学を駆使して現実の課題を解決したいという意欲がある人を求めています。論理的な思考力と記述力を持ち、未知の領域にも好奇心旺盛で、難問に粘り強く取り組める人を歓迎します。応用数理の研究では異分野の専門家と連携するためのコミュニケーション能力も重要です。数学を通じて世界に貢献したいという熱意を持った皆さんをお待ちしています。

 

先生のご専門について簡単にご紹介ください。

私の専門は、生命科学に関わる離散数学です。簡単に言えば、生物の進化や細胞の変化といった生命現象を、数学を使って解明しようとしています。例えば、生物の進化や細胞の分化といった現象に関連する新しい数学の定理を見つけたり、生物学的なデータから有意義な知見を得るための新しい分析手法を開発したりしています。主に関係するのは、グラフ理論やアルゴリズム論という分野です。 例えば、生物の進化史は「系統樹」と呼ばれる図式で表現されることが多いのですが、細菌やウイルスの進化は系統樹で表現しきれないほど複雑なので、系統樹を一般化した「系統ネットワーク」というグラフ構造には特に興味を持っています。系統ネットワークの数学的な性質を解明するだけでなく、実際のデータ解析に系統ネットワークを活用して細菌やウイルスなどの進化プロセスを推定したりしています。 こういう学際的な研究は、数学だけでなくコンピューターサイエンスやライフサイエンスにも深く関わっているので、純粋数学から医学に至るまで幅広い分野の研究者と一緒に仕事をする機会が多いです。 もちろん学生たちもメンバーに加わって、みんなで共同研究を楽しんでいます。私の研究室ではHIVの進化のモデル化、ヒト幹細胞分化に関わる重要遺伝子の探索、離散幾何学やトポロジーを応用したデータ解析、系統ネットワークに関するグラフ理論やアルゴリズムの開発など、様々なテーマで応用数理の研究を進めていて、数学で生命科学のフロンティアを切り拓いている感触を学生たちと一緒に日々味わっています。 私にとっても学生にとっても、ワクワクする体験の連続です。

 

受験生(在学生)へのメッセージをお願いします。

数学って難しそう、役に立つの?そんな疑問を持っている人もいるかもしれません。でも、応用数理学科で学ぶと、数学がいかに面白く、そして役立つものかを実感できます。ここでは、純粋な数学の美しさを味わいながら、それを実社会の問題解決にどう活かすかを学べます。数学が好きな人はもちろん、数学を使って世界を変えたい人にぴったりの学科です。大学での学びは、皆さんの想像以上に広く深いものです。ぜひ、応用数理学科で数学の新しい一面を発見し、自分の可能性を広げてください。難しいことにチャレンジする勇気さえあれば、きっと素晴らしい成長が待っています。一緒に数学の力で世界を変えていきましょう!

 

その他、何かあれば、お願いします。

応用数理の学習や研究をすると、一見関係なさそうなもの同士が、数学を通じてつながっていることに気づく瞬間があります。分野と分野の結びつきや、現象と現象の結びつきなどを自分で見出せるのは応用数理学科の醍醐味です。また、数学は世界共通の言語ですから国際的な舞台で活躍するチャンスも多くて、学部生や修士課程学生のうちから国際会議で研究発表をする学生も多いです。数学を通じて、世界中の人々とコミュニケーションを取れるのは素晴らしいことです。応用数理学科で学ぶことで、皆さんの視野は大きく広がるはずです。ぜひ、この学科で新しい自分を発見してください。