English

Department / Major

高度な専門能力とともにグローバルな視点からローカルな視点までを俯瞰できる人材の育成

学科のコンセプト

河原 大輔
(カワハラ ダイスケ)
教授/博士(情報学)

スマート&グローバルな社会を支える情報通信技術を、通信工学、情報システム、メディア・コンテンツの視点から追究します。通信ネットワーク技術とコンピュータ技術をバランス良く学び、スマートな社会基盤の実現とグローバルな社会の発展に寄与するための知識と技術を習得します。

カリキュラム構成のポイント

  • 基礎科目の強化: 3年以降の応用科目に先立って、2年生では、情報通信技術のベースとなる「回路理論」、「信号処理」などのコア科目を深く学びます。
  • 演習による実力向上: Waseda Vision 150が目指す「対話型、問題発見・解決型教育」に重点を置き、座学に留まらない知識の取得を可能にしています。
  • 産業界協力科目の強化: 「次世代ネットワーク」など、通信・放送事業者、電機メーカ、官庁からのサポートによる実践的な講義を多数提供しています。

Interview

先生の専門について教えてください。

自然言語処理が専門です。自然言語処理とは、コンピュータで文章を理解、生成する研究分野です。自然言語処理の研究成果としては、検索エンジン、自動翻訳システムやチャットボットなどがあります。みなさんは、日頃、ウェブ上の検索エンジンを使って、調べたいことを検索しているのではないでしょうか。時には、自動翻訳システムで外国語を翻訳したり、ChatGPTのようなチャットボットに質問することもあるかもしれません。

我々の研究室では、言語・世界知識の獲得・利活用、そして計算機科学と言語学の知見・技術の融合によって、人間と同程度に言語を理解し、使いこなすことができる人工知能システムの実現を目指して研究を進めています。最近では、特に、大規模言語モデル、すなわちLLMの構築・利用・評価、知識のLLMへの融合、評価ベンチマークの構築の研究などを行っています。今後ますます、検索エンジンや自動翻訳など、人の言語活動を支援するアプリケーションの精度が上がり、さらに便利になることが期待されます。

自然言語処理の難しさはどこにあるのでしょうか?

人は言語を何気なく使用していますが、いざコンピュータで扱おうとすると難しさがたくさんあります。例えば、言語を理解するコンピュータを作るためには「理解」を定義する必要がありますが、これが非常に難しいです。一つの方法として、言語を理解していたら出来るであろうことを複数挙げて、それがどれくらい解けるかを試すという方法があり、我々の研究室でも研究しています。

ところで、最近のLLMや生成AIは有用かつ流暢な生成・応答をします。しかし、ハルシネーションと呼ばれる不正確な情報やバイアスの生成など多くの問題を抱えています。LLMがどれだけ言語を理解しているのか、またハルシネーションやバイアスを減らすにはどうしたらよいかなどの研究は難しいですが、面白い研究課題です。

情報通信との関係を教えてください。

人がことばを使用する目的の一つはコミュニケーション、つまり通信です。自然言語処理はこれをコンピュータ上で実現しようとする研究ですので、情報通信分野になるわけです。また、この研究の進歩を支えるのは発展し続けるコンピュータやインターネットであり、電気電子・情報通信など様々な研究開発の上に成り立っています。

情報理工学科と情報通信学科の違いはどこにあるのでしょうか?

情報理工学科と情報通信学科は大学院では一つの専攻になるので、兄弟学科のような関係です。両学科の研究室で手がけている研究テーマを並べてみると比較的近いものもありますが、情報通信学科はその名の通り、通信に力点が置かれています。インターネットを始めとするネットワーク、放送、無線、光通信技術と、その上を流れるコンテンツをどう扱うのかというところが中心です。ネットワーク上のことであればすべてが守備範囲になるので、応用で扱う範囲が実に広いです。情報通信学科に興味をもった学生は、どんな研究室があるか調べて欲しいですね。ちなみに、この目的にも生成AIが使えるかもしれませんが、やはり応答が正しいかを批判的に確認することが大切です。