世界的に活躍している教授や、国内外の企業のトップや著名な方々からの講義を受けることができます。
石田 凜太郎(いしだ りんたろう)
材料科学専攻 修士1年
専攻を選んだ理由を教えてください。
私は幼少の頃から、日常生活と算数(数学)を結びつけて考えることが好きでした。例えば、お金、時間、長さ、重さなど、様々なことが学びの宝庫です。このような幼少期から、数学の世界に飛び込んでいたのだと思います。そして、大学入学時に、数学を用いて何か社会に役立てることを目的として行う研究をしたいと考え、応用数理学科に進学しました。数理モデリングや最適化、統計解析など、基礎的な理論や手法を習得し、応用として現実世界への課題に対して解決策を提供する能力を養いました。大学4年次より、伊藤研究室の配属をきっかけに、更なる高度な学習をして専門知識を身に付けたいと思うようになりました。伊藤先生の元で学んでいるうちに、日本刀の金属強度について興味が湧き、鉄鋼材料学に魅力を持ち始めました。そこで大学院では、数理的な視点から物理的・工学的視点について考察していきたいと考え、材料科学専攻に進学しました。
現在取り組んでいる研究について教えてください。
大学生時代では、「日本刀と西洋剣の比較研究」ということで、作刀・作剣方法の違いから考察する強度の違いについての研究を行いました。一般に日本刀は「折れず・曲がらず・よく斬れる」と評されています。しかし、これには矛盾点があることがわかりました。折れないためには、軟らかい鉄でなければならず、曲がらず・よく斬れるためには、硬い鉄でなければなりません。日本刀はこの矛盾を、折れやすいものと折れにくいものの2種類の鉄を使うことで克服していることがわかりました。そして、日本刀の作刀工程は複雑で、折り返し鍛錬や焼き入れ、焼き戻しなどの高度な熱処理のもと、鉄の強度を変えて作刀しています。強度には、硬さや切れ味を表す硬度と、刀剣の柔軟性や耐久性、脆さを表す靱性の2つの側面から考察していく必要があります。そこで、私は熱処理の違いによって、鉄の組織構造がどのように変化するのかを研究したいと思い、金属の靱性について興味を持ち、大学院からは「日本刀の靱性」を研究テーマとし、取り組んでいます。
研究の魅力について教えてください。
伊藤先生と出会ったことによって、日本刀の魅力に取り憑かれました。日本刀は、1000年を超える歴史があり、特に鎌倉時代の名刀を再現することは、現代の科学技術を駆使しても再現できないと言われています。日本刀の各研究者は、そういった謎を解明するために日々研究に没頭しています。日本刀素材の玉鋼の種類、加熱鍛造条件、焼き入れ前の炭素量、焼き入れ時の加熱温度などを変更することによって、日本刀の顔を変えることができます。人の手の掛け方によって様々な表情が現れ、手をかければ、千差万別な顔を見せてくれます。そういったところが私にとって、日本刀のこの上ない魅力だと思います。
学生生活の中で、学業や研究以外に打ち込んでいることはありますか?
私の見た目は、体育会系のように見えますよね(笑)?ご覧の通り、私は早稲田大学理工硬式庭球部に所属し、練習や大会の参加を積極的に行ってきました。個人戦では、自身の集大成の目標である、全国学生庭球同好会連盟の全国大会で、シングルス優勝することができました。また、大学対抗戦では、早稲田大学の主将に2年連続で任命され、27連覇を達成することができました。また、東西対抗戦では、関東代表選手として選抜される貴重な経験ができました。サークル活動をする中で、困難な状況にも直面しましたが、メンバーたちと意思疎通を図りながら、多くの課題に取り組みました。こうして学んだことは、困難な状況でも根気よく取り組み、メンバーとの思いや目線を共有したことで、信頼関係を築き、私自身の一生の宝となりました。
今後の進路や目標、夢などについて教えてください。
学生時代で学んだ知識を活かして、社会の基盤を支える産業である鉄鋼業界での仕事に就きたいと考えています。近年、世界各国でも目標となっているカーボンニュートラルへの取り組みに魅力を感じています。そのためには、持続可能な未来を築くための技術革新に少しでも貢献できたらと思っています。将来の目標としては、最新の環境技術や持続可能な製品開発に携わり、カーボンニュートラルへの道を支える一端を担えたらと考えます。
受験生や後輩へのメッセージをお願いします。
早稲田大学は、自分の学科を超えて勉強することができます。様々な学問に触れ、幅広い教養を得ることができる最適な場であります。また、理工学部には世界的に活躍している教授や、国内外の企業のトップや著名な方々からの講義を受けることができます。大学生の間は、学業はもちろんですが、スポーツや音楽など、夢中になれるものを見つけてみてください。きっと何かが起きると思います(笑)。また色々な人との出会いを大切に、学生生活を楽しんでください。