ミクロな物理現象が今日の高度情報化社会を支えている  電子光システム学科

電子光システム技術とは?

電子光システムという言葉から何を想像しますか。皆さんの身近にある機器やよく耳にする言葉の中にも、スマートフォン、コンピュータ、デジタルカメラ、センサ、光ファイバ、DVD/BD、大型ディスプレイなど、電子光システムに関連する技術はたくさんありま
す。エレクトロニクス(電子)およびフォトニクス(光)と呼ばれる学術分野は、基礎物理学を背景として、現在の高度な情報化社会をハード面から支える、なくてはならない技術です。

もはやコンピュータのない世の中は考えられません。コンピュータの心臓部はシステムLSI(大規模集積回路)であり、その周辺には半導体メモリやハードディスクといった記憶装置があります。携帯電話には、微弱な電波を受けたり送ったりするための高誘電体フィルタや低雑音増幅器、さらにはマイクロ波発振器が搭載されていま
す。最近のスマートフォンは、上記の素子に加えて撮像素子(カメラ)やタッチパネルを兼ねた液晶モニタも装備しています。

皆さんはインターネットで検索したり、電子メールを取り交わしたりするだけでなく、SNSやホームページを活用して情報発信をしているかも知れません。そのためには、有線無線に関わらず高速な伝送路が必要です。世界中のほとんどの場所に効率よくデータを送ることのできる伝送路は光ファイバです。光ファイバ通信がなけれ
ば、通常の電話サービスやハイビジョン伝送はもとより、インターネットや携帯電話は成り立ちません。光を電波のように空間にとばして超高速通信を行う光無線通信は、より簡便で高速な通信を可能にします。これらの光通信には半導体レーザが活躍しています。また信号機や看板、駅前の大型ディスプレイなどに明るい発光ダイオードがたくさん使われています。

他方、豊かなくらしを実現するために日頃から健康を維持管理することはとても大切です。そのための一つの手段として、健康状態をモニタするバイオセンサに注目が集まっています。バイオセンサにはDNAやタンパク質などを含む液体を扱う仕組みも必要です。また測定した結果を無線や光ファイバで伝送し、病院が遠くであっても専門の医師の診断を受けられる時代がきています。

これらの技術は、単に技術のための技術、産業のための技術だけであってはいけません。これからは、共通のすみかである地球で、限られた資源を上手に活用して真に豊かな生活をおくれるようにしていかなければなりません。そのためには、省エネルギーに心がけ、健康で快適かつ安全で安心できる生活環境を構築し、納得できる人と人とのコミュニケーション環境を提供できるように科学技術を進歩させていかなければなりません。このように、真にクオリティオブライフを向上させるためには、電子光システムはなくてはならない技術です。

何を学べるの?

新しい電子光システム技術を開発し、さらに一層高度化させていくためには、基礎物理を理解しなければなりません。電子光システム学科では、量子力学、電磁気学、熱統計力学、固体物理などの物理学を基礎として、回路理論、電子工学、電子デバイス、光エレクトロニクスといった電子と光を活用するための学問、さらには、情報数学、論理回路、集積回路、光通信システムといったシステム領域科目について学ぶことができます。物理と数学を基礎として、電子・光子・原子といったミクロな世界を理解し、電子・光素子が大規模集積回路やシステムオンチップに集積されることを学び、そして長距離伝送やエネルギー機器といった大規模な装置までを一貫して体系的に学ぶことができます。少人数制で分かりやすく、豊富な実験演習科目を通して年次進行により、基礎から無理なく高度な学問へと学習することができるようになっています。