世界をつなぐ光ファイバ
基幹理工学部 情報通信学科 森田逸郎

現代の情報通信社会においてやり取りされるデータは増加の一途をたどっています。光ファイバ通信は、そのような大容量の情報をやりとりする情報通信ネットワークを構築するために不可欠な基盤技術となっています。「光ファイバ」という言葉は聞いたことがあっても、実物を見たことがある人は少ないかもしれません。光ファイバは高純度の石英ガラスでできた髪の毛ほどの細い線であり、その中心部分に屈折の原理を用いて光を閉じ込めることにより、遠くまで信号を送ることができます。

 

低損失な光ファイバを通信に用いることは1966年にチャールズ・カオ氏により提唱され、カオ氏はその功績により2009年にノーベル物理学書を受賞しました。カオ氏の提唱から4年後の1970年に作製された光ファイバの損失は20dB/kmでしたが、現在では、大量生産される商用光ファイバにおいても0.2dB/km以下の損失が得られています。これは、光エネルギーが1/100になる光ファイバの長さが1kmだったものが100km以上まで延びることに相当し、約半世紀の研究開発により光ファイバの損失が大きく低減されたことが分かります。このような低損失な光ファイバは、情報通信ネットワークの中の至る所で用いられており、現在、世界中に敷設された光ファイバの総量は50億km(地球12.5万周分)以上に達すると言われています。

 

光ファイバが用いられている通信システムの中で最も距離が長いものは海底ケーブルです。例えば、日本とアメリカを結ぶ太平洋横断ケーブルの場合、約1万kmの光ファイバが海底を這わせるように敷設されています。太平洋を横断する場合、途中の日本海溝を避けることができないため、できるだけ水深が浅いルートを選択して(それでも水深6000メートルほどになります)通しています。このような海底ケーブルは世界中に張り巡らされており、グローバルな情報通信ネットワークを提供しています。最新の光海底ケーブルでは、1本の光ファイバで伝送できる情報量は20Tbit/s以上まで拡大されており、これは1秒間にブルーレイディスク100枚分のデータを送信できることに相当します。以前は国際間の通信には静止衛星を用いた衛星通信も使われていましたが、現在では莫大な情報量とスピードを確保するため、国際間の通信トラヒックの99%は海底ケーブルによって運ばれています。特に日本のような島国の場合には、必要不可欠な情報通信基盤となっています。

 

海底ケーブルの重要性を再認識する出来事として、2022年1月に発生したトンガ周辺での海底地震について記憶している人も多いのではないでしょうか?島国のトンガは海外との通信の大半を海底ケーブルに頼っていますが、その海底ケーブルが地震により損傷したため、トンガの住民と国外とのコミュニケーションは数日間にわたってほとんど途絶えてしまいました。その結果、政府や救急隊が連絡することも難しくなり、救援や復興にも支障が生じました。通信の一部は衛星通信により1週間程度で再開しましたが、損傷した海底ケーブルの復旧には5週間以上を要しました。日本で発生した2011年の東日本大震災の際にも、多数の海底ケーブルが損傷を受けました。しかし、この時は何本かある太平洋横断ケーブルの内、世代の新しい海底ケーブルは損傷を受けなかったため、国際間の通信の継続が可能でした。海底ケーブルの技術革新のペースはとても早く、世代毎に伝送できる情報量が格段に増加していたため、古い世代の海底ケーブルが使用できなくても、大きな問題は生じなかったのです。仮に新しい世代の海底ケーブルが損傷を受けていた場合、その影響は甚大になっていたと考えられます。現在では、経済安全保障の観点からも海底ケーブルの重要性はますます大きくなっており、総務省から発表されているデジタル田園都市国家インフラ整備計画では、海底ケーブル陸揚局の分散配置や日本周回ケーブルの運用も計画されています。

 

光ファイバ通信は技術革新を繰り返し、急増する通信トラヒックを収容する通信インフラ基盤としてその役割を果たしてきました。今後の情報通信社会でやりとりされるデータはますます増加することが予想されていますが、従来の光ファイバで伝送できる情報量は限界に近づいていることが分かっています。そのため、これまでとは異なる構造の光ファイバの研究開発も精力的に進められており、このような新しい光ファイバへ切り替わるターニングポイントが来るかもしれません。

ことばを複雑系として捉え、社会的な系の数理工学として生かす
基幹理工学部 情報理工学科 田中久美子

私は学生の時以来、一貫して、数理的な方法論により自然言語を対象とする研究をしています。ことばがどのようなものか、を考察することは、最も古い学問の一つで、長く人文系の「言語学」として位置付けられてきました。言語学では、ことばの中の要素が何であるかを中心に据え、単語とは何か、文構造とはどのようなものか、意味とは何か、などが考察されてきました。
 
近年、インターネットにより大量にことばのデータが得られるようになり、「ことば」を計算機で処理する必要性が増大しました。大量のデータを扱うのですから、その基礎として情報理工学や応用数理などの方法論が必要となります。単語の出現の数理的性質に基づき、言語モデルを構築することが、言語を計算機で扱う分野の基礎の一つとなりました。言語モデルとは、与えられた単語列に後続する単語を予測するもので、自動分類、自動翻訳、情報検索など、言語工学の基礎です。
 
ひと昔前は、言語モデルとして、短い有限長の単語列に後続する単語を予測する、単純なマルコフモデルが用いられていました。今では、ニューラルネットワークを用いてこの予測を行い、これこそがChatGPTやLlamaをはじめとする大規模言語モデルです。大規模言語モデルにより、自然言語処理の性能は格段に上がりました。
 
次の単語の予測は、簡単なように見えて容易ではありません。その理由の第一は、文書に初出の単語が意外に多いことです。コーパス中に現れる、異なる単語を集合と考えると、非常にざっとではありますが、その集合の約半分程度の単語が、そのコーパス中に1回限りで現れます。驚くべきことに、小さな文書でも、大きな文書でも、だいたいこの性質が成り立ち、言語には統計的に自己相似的な性質があります。初出の単語は、それまでのコーパスの中に「無い」からこそ初出ですが、それをどのように言語モデルで予測するかは難しい問題です。第二は、単語の出方には独特のパターンがある点が挙げられます。単語の出現は塊として表れ、その現象は系列の中でどこでも似ています。このパターンがどのように生成されるのかを数理的に記述し、それをふまえて次の単語を予測することは簡単ではありません。以上の、単語の頻度、ならびに系列の中の単語の出現の現象の中にある性質は、冪乗則として観測することができ、左の図1に、その解析の例を挙げました。近年のその前線を著書「言語とフラクタル」(東京大学出版会、図2の著書)においてまとめましたので、 ご参考までに挙げます。
 
私が取り組んできたのは、このような自然言語の性質を、数理的な方法論を用いて「複雑系」として捉え直すことです。自然言語を「複雑系」として捉える考え方は、ことばを科学的に捉え直す基礎の一つともなり、また、工学においては、言語モデルの基礎となる機械学習技術を再考するきっかけともなると考えています。
 
大規模なデータは、情報理工学分野の全域において必要となりますが、大規模な系から生成されたデータには、さまざまな冪乗則が共通して表れます。冪乗則は、生物、地震、気象など自然のデータだけでなく、金融、法律、インターネットなど、さまざまな社会的なデータにも共通します。左の図3に示す通り、私の研究室では、人の社会的な系を、「複雑系」と捉え、自然言語を基軸として、大規模な社会的な系の性質を理解し、機械学習に基づく工学の研究を展開しています。
 

エネルギーハーベスティングから持続可能な未来へ
基幹理工学部 電子物理システム学科 史又華

電子工学の進展により、私たちの生活は劇的に変化しました。かつて部屋一杯を占めた巨大なコンピュータが、現在では手のひらサイズや身に着けることができるデバイスへと進化しています。これらの小型化されたデバイスは、私たちの日常生活をより便利で快適なものに変えています。しかし、この技術革新の背景には、持続的かつ安定した電力供給という大きな課題が存在しています。

 

現在、携帯用電子デバイスを駆動させるため、電力のほとんどはバッテリーによって供給されています。しかし、既存のバッテリー技術は、サイズ、持続時間、環境への影響という面で限界があります。これらの限界を克服するための解決策として、近年、エネルギーハーベスティング技術が注目されています。エネルギーハーベスティングのコンセプトは、私たちの周囲の無駄なエネルギー(熱、振動、光、電波など)を収集し、それらを利用可能な電気エネルギーに変換する技術です。これまで、我々の研究グループは、人体からのエネルギーを利用する振動発電、熱電発電、および摩擦発電などの研究開発を行ってきました(図1参照)。振動発電は、人間の動作や工業機械の運動エネルギーを電気に変換します。熱電発電は、体温を利用し、摩擦発電は静電気を活用します。例えば、靴の内部にエネルギー変換回路を組み込む、人の歩行時に発電し、バッテリーなしで加速度センサの情報を無線で送信することが成功しました。このようなエネルギーハーベスティング技術により、電子デバイスは環境から電力を得て、バッテリーの持続性問題や環境負荷の軽減が可能となりますので、持続可能で環境に優しい社会の実現に向けて重要な役割を担っていることが期待されています。

 

しかし、エネルギーハーベスティング技術は、エネルギー源の限定性やその発電量の不安定さという課題に直面しています。例えば、振動発電の場合には、振動がない時、もちろん発電はできません。また、異なる周波数での振動に対して、生成できる電力は大きくかわります。そのため、どうにかこれを克服するような効率の良いエネルギーハーベスティングシステム設計技術の開発や、低消費電力の電子デバイス・電子回路設計の進化が必要です。すなわち、エネルギーハーベスティングの研究開発には、材料科学、ナノテクノロジー、電子工学など、多岐にわたる分野の技術が結集する必要があります。これらの技術の統合により、より効率的で実用的なエネルギーハーベスティング技術が生まれ、新しい産業の創出に寄与しています。

 

歴史を振り返ると、人類は常にエネルギー源の発見と利用において進歩を遂げてきました。火の使用から始まり、水力、風力、化石燃料、そして再生可能エネルギーへと、エネルギーの取得方法は時代と共に変化してきました。エネルギーハーベスティングは、この長い歴史の中で最新の節であり、持続可能で環境に優しい未来への大きな一歩を意味しています。是非皆さんと一緒にこれらの実現に向けて頑張りましょう。

次世代航空機エンジン技術の発展に向けて
基幹理工学部 機械科学・航空宇宙学科 藤澤信道

航空機産業は、新型コロナウイルス感染症の拡大により大打撃を受けましたが、IATA(国際航空運送協会)によると、今後の航空需要について2024年には2019年と同水準まで回復し、今後年4%程度の持続的な成長が見込まれています。その中で、急速に脱炭素化の要求が高まりつつあり、機体・エンジンの軽量化・効率化等に関する技術開発が全世界のメーカーで実施されています。また、次世代航空機として、水素航空機や電動航空機、「空飛ぶクルマ」といったeVTOLの開発競争も激化しています。こうした状況を踏まえて、次世代航空機に必要とされる航空機の主要部品の要素技術開発のための研究が全世界で進められています。ここでは、流体力学を駆使して航空エンジンの主要部品である圧縮機の研究を行った例を紹介します。

今日、二酸化炭素排出削減などの環境適合性の強化や、原油価格の高騰する中での燃料費削減の要求から、旅客輸送の主要な推進機関である航空用ターボファンエンジンには、燃費の低減が求められています。近年、燃費の低減のために、重量の低減と共に、航空エンジンの小型コア化が進んでいます。小型化が進む中で回転する動翼の高さが小さくなると、回転翼と静止壁の間の翼端隙間のサイズは安全面上変更できないため、翼端隙間はこれまでの圧縮機と比較して相対的に大きくなり、隙間からの空気漏れが大きくなり圧縮機の性能が低下する課題があります。また、翼端隙間が相対的に大きくなる圧縮機では、性能低下だけではなくRotating Instability(以下RI)と呼ばれる不安定現象が発生することが知られています。RIにより圧縮機機器の破損に繋がるような振動が発生する、あるいはRIの発生を避けて運転することを強いられるために、エンジンの運転範囲が限定されるなど、航空エンジンの分野では大きな問題となっています。

そこで、研究室で保有する1.5段軸流圧縮機を用いて試験を行い、RIの現象解明を行いました。この圧縮機は研削した2種類のケーシングを用いることで、翼端隙間を変化させることができます(図1)。実際の試験では、翼端隙間を大きくすると性能が低下するとともに、翼の回転によって引き起こされる変動とは別に、RIによる低周波数の変動が確認されました。また、RI発生時の圧縮機内部の流れを詳細に調査するために、流れの様子を記述するNavier-Stokes方程式を解析的に解く数値計算コードを開発し、スーパーコンピューターを利用したGPU解析を実施することで、高速かつ高精度に圧縮機の内部流れを再現しました。数値流体解析から得られた圧縮機の動翼近傍の流れ場を可視化した結果(図2)を示します。この図より、動翼と静止壁の隙間から渦が周期的に放出されるがRIの発生要因であることを示しました。また、RIの発生により形成される圧力の変動は試験でも確認することができ、本圧縮機で発生するRIの現象解明に繋がりました。

このように、試験と試験を互いに上手く使用しながら、航空エンジン用圧縮機に発生する不安定現象を調査した例を紹介しました。機械工学の分野では、従来の実際の機械を用いた試験と併用して、情報科学を用いた数値解析技術を多用しています。近年では、大量の試験データに基づいて物理モデルを修正するデータ同化技術や解析結果を予測する機械学習も導入されています。今後も航空エンジン技術の発展のために、試験と解析をより緊密に連携させながら、基礎的な現象解明に重きを置き、研究活動をさらに推進していきます。優秀な皆さんと一緒に、研究活動が出来ることを楽しみにしています。

環境調和を実現する耐熱合金のリサイクル
基幹理工学研究科 材料科学専攻 鈴木進補

○熱効率改善の鍵は耐熱合金

航空機や火力発電機は,内燃機関の一種であるガスタービンを動力源としています.環境調和のためには,いかに熱効率を高めるか,つまり,いかに少ない燃料消費で大きなエネルギーを得るかが重要になります.熱力学的には,燃焼室の温度を高めれば熱効率が高まることが簡単な式で表されます.

ここで実現の大きな鍵となるのは,その高温に耐えられるタービン翼用合金です.タービン翼は,稼働中に吹き付けられる1500~1600℃の高温高圧のガスと,高速回転により一枚でトラック約三台分の重量に相当する遠心力に耐える必要があります.この過酷な環境に耐えられる材料として,現在は,主にNi基超合金が使われています.NiにAlをはじめとして約十種類の元素が添加され,それぞれの元素の役割に応じて,高精度に成分調整がされています.近年,耐熱特性で世界最高水準にある合金が,日本の研究機関であるNIMSで開発されました.タービンでの使用可能温度を上げ,タービン翼の寿命を延ばすため,優れた環境調和型材料として注目されています.

 

○耐熱合金リサイクル ~一石二鳥のCaO~

一方,近年開発されたNi基超合金は,レニウム(Re)やルテニウム(Ru)のような希少元素が添加されており,そのため価格の上昇や,採掘による環境負荷への対策が普及への課題となっていました.そこで我々は,タービン翼材料のリサイクル法の開発に取り組んでいます.タービン翼は,使用者が航空会社や電力会社と特定される点で回収しやすく,リサイクルに適しています.単純に考えれば,使用済みのタービン翼を回収してもう一度溶解し,鋳造すれば,タービン翼として利用できます.この方法であれば,希少元素も再度利用できます.しかしながら,実際はそれほど簡単ではなくリサイクルには新たな技術が必要です.タービン翼使用時に硫黄(S)などの有害不純物が表面に付着し,合金内部へも拡散していきます.このような有害不純物は,単に再溶解,鋳造をしただけでは合金内に残ってしまいます.有害元素は,たった数ppm残っているだけでも,高温での特性を著しく低下させます.

これまでの実験の結果,溶解した合金にカルシア(CaO)を接触されることが,一石二鳥であることがわかりました.まず, CaOにSを化学反応により付着させ除去すると,合金のS濃度を低減できました.これにより,使用済みタービン翼からリサイクルしたNi基超合金の高温強度が,各元素の高純度インゴットを混合した純正材と同等であることを示しました.さらに,Sを微量でも含む場合は,高温で表面の酸化膜が剥離しやすくなる問題がありましたが,溶解時にCaOと接触させた材料では,剥離を抑制できました.原子レベルの分析により,極微量のSを合金中で探した結果,ほんの僅かに溶け込んだCaがSを合金内部に捕捉して無害化していたことがわかりました.有害なSは,もともと合金と酸化膜の界面に偏析しやすかったのですが,Caにより捕捉され,界面を弱くすることはなくなりました.

 

○原子レベルの制御が巨大なシステムを支える

このような高性能の耐熱合金の普及により,燃料消費の削減や材料交換の頻度低減が実現され,さらに使用済みの耐熱合金をリサイクルすれば,材料廃棄や新規採掘を抑制することができます.原子レベルでの合金制御で,巨大な航空機や発電機システムの心臓を支え,地球環境との調和を可能にすることが,材料科学の醍醐味です.

お絵描き統計学の今や昔
基幹理工学部 応用数理学科 劉 言

 眩しいぐらい太陽の光が降り注ぐ中,何気なく拾った木の枝で砂場をキャンバスにして,時間が止まったかのように自分の想いを描き込んでいきます.そして気がつけば,大自然の一角に自分の魂が宿った壮大な絵が完成したということは,子供のときに誰しも経験のあることでしょう.

 いつの時からか,絵が数式に置き換わり,学びというものが始まったと記憶しています.足し算,引き算が難しいから,線分図を描きなさい,難しい数式を絵で理解して欲しいという先生の親心は今でも忘れられません.その延長線上にあるのは,未知量を文字で代替して,絵の,数式による表現ではないか,と今となって思います.

 パラメータと呼ばれる文字が増えれば増えるほど,絵の自由度も高くなる,ということは皆さんがよくご存知のことと思います.それに纏わる逸話の一つに,天才とも称されるジョン・フォン・ノイマン氏がフェルミ氏への返事に以下のことを述べています:

  With four parameters I can fit an elephant, and with five I can make him wiggle his trunk.

 

この象のことをフォン・ノイマンの象と呼ばれています(図1).

 統計学では,方向統計学と呼ばれる分科があります.円周上の分布を研究するものです.学部の統計学の講義では,実数値確率変数を対象とするのが基本で,馴染みのない方も読者の中に少なからずいると想像します.円周上の分布関数も一般的に密度関数をもち,パラメータ付けすることにより,母集団の統計的性質や,推定問題,検定問題などを考えることができます.図2では,円周上の密度関数を,ほんの2例,示しています.円周分布は風向データや犯罪データ,温室効果ガスデータなどへの応用があります.さらには乳幼児突然死症候群の特徴づけにも円周分布が使われています.

 

 円周分布の密度関数は一般的につぎのように与えられます:

 

\(\displaystyle f(ω; \rho_1,\cdots ,\rho_q, \gamma_1,\cdots ,\gamma_q, \nu_1,\cdots ,\nu_p, \mu_1,\cdots ,\mu_p)\)

 

\(\displaystyle =\frac{c}{2\pi}\ \frac{|1+ \sum_{k=1}^{q}(\rho_k e^{-\mathrm{i}k\gamma_k})e^{\mathrm{i}k\omega}|^2}{|1- \sum_{j=1}^{p}(\nu_j e^{-\mathrm{i}j\mu_j})e^{\mathrm{i}j\omega}|^2}\),    \(\omega \in (- \pi, \pi].\)

 パラメータは, \(2 (p+q) \) 個あります.つまり,パラメータ付けされた密度関数のモデルが複雑であればあるほど,パラメータの数も増えていきます.フォン・ノイマンの言葉を借りれば,パラメータが5つもあれば,象の鼻を振らせることができます.だから,データ解析においては観測データを十分に表現することができれば,できる限りシンプルなモデルを使いたい,というのは統計学者のココロです.

 昔話はさておき,少し最近のお話をします.円周分布のこの固有の特徴,つまり複雑なモデルに多くのパラメータを抱えている特徴を見て,私は方向統計学の文脈に経験尤度法を最近の投稿論文で導入しました.経験尤度はデータ駆動型の手法で様々な統計的最適性をそのまま受けるものですが,あまり広まっていない印象です.学部学生の習う統計学では,分布論が一つのテーマで,確率変数を表現するにはどのような分布があるかを勉強するものです.一方で,本来の統計学の見地からデータそのものを見ていないのに,そのデータにある分布をもっていると仮定するのはいささか乱暴なことであり,講義の受講生から納得できないという声もよく聞きます.実は,この経験尤度,モデルより一つ弱い階層であるパラメータの満たすべき方程式という観点に着目して,その方程式の成り立つ確率を最大にしているものを考えています.即ち,パラメータの満たすべき方程式の尤もらしさを評価しているものです.このように,方向統計学の文脈に経験尤度法を導入することにより,複雑なモデルを忘れて,パラメータの信頼領域の構成,パラメータに関わる仮説の統計的検定などができるようになりました.

 本題からお話がやや逸れましたが,数理的観点からデータ解析のフィロソフィーが少しずつ明かされてきて,統計科学が進化し続けています.今後はお絵描きにも一助となれば,幸いです.

ランダムウォークとスケール極限
– 複雑な系の上の異常拡散現象を探る –
基幹理工学部 数学科 熊谷 隆

物質中の熱伝導は、物質内での粒子のランダムな振動によって生じます。この現象を数学的にモデル化したものがランダムウォークやブラウン運動です。
単純な例として数直線を考えましょう。数直線の整数点の上を動く粒子で、1秒後に右方向か左方向にそれぞれ確率1/2で1ステップ動くような、ランダムウォークを考えます。粒子の時刻tでの位置を\(\sf X_t\)と書くことにし、次に点と点の間隔を短くして\(\sf 2^{-n}\)としましょう。この時、\(\sf 2^{-n}\)\(\sf X_t\)はメッシュの間隔が\(\sf 2^{-n}\)のグラフの上のランダムウォークになります。このままnを無限大にすると、粒子は動かなくなってしまうので、時間の方もスピードアップします。この時、時間を\(\sf 4^n\)でスピードアップする、つまり\(\sf 2^{-n}\)\(\sf X_{{4^n}t}\)を考えると、nを無限大にしても粒子が動かなくなったり一瞬で無限大に飛んだりすることなく、数直線上のランダムな動きをし続けることが知られています。このスケール極限で現れるランダムな粒子の動きを、ブラウン運動といいます。ブラウン運動というと、理科の時間に顕微鏡で観察した花粉の粒子の動きを思い出しますが、ここで登場するブラウン運動は、そのような現象を数学的に厳密な形で記述したモデルです。このブラウン運動を使って、数直線上の熱伝導を詳しく解析することができます。例えばブラウン運動を使って熱方程式の解を表記することができ、その確率密度関数としてガウス核が現れます。スピードアップする際の\(\sf 4^n=\)\(\sf 2^{2n}\)ですが、この指数のnの係数に当たる2は「ウォーク次元」と呼ばれ、粒子の拡散のスピードに深く関わる量なのです。ここでは1次元の数直線でお話ししましたが、一般のd次元ユークリッド空間の上でも、ブラウン運動のウォーク次元は2であることが知られています。

次に、シェルピンスキー・ガスケット(図1の左側の図形)と呼ばれるフラクタル図形の上のランダムな粒子の動きを考えてみましょう。まずは図1の右側のような、フラクタルを近似する離散グラフを考え、その上のランダムウォークを考えます。つまり、粒子が三角形の頂点(図の黒丸)にいるとき、1秒後に隣接する頂点に等確率で動くようなランダムな動きを考えます。先ほどと同じく粒子の時刻tでの位置を\(\sf X_t\)と書き、メッシュの間隔を\(\sf 2^{-n}\)としましょう。\(\sf 2^{-n}X_t\)で時間のスピードアップを考えると、今度は\(\sf 4^{n}\)ではまだ足りず、\(\sf 5^{n}\)でスピードアップする、つまり\(\sf 2^{-n}\)\(\sf X_{{5^n}t}\)を考えると、nを無限大にした時にフラクタル上のランダムな動きをし続けることが、1980年代後半に厳密に証明されました。極限に現れるランダムな粒子の動きは、フラクタル上のブラウン運動と呼ばれ、ブラウン運動を解析することでフラクタルという複雑な系の上の熱伝導が詳しく分かってきました。\(\sf 5^n=2^{(log 5/log 2)n}\)なので、この図形のウォーク次元はlog5/log2となります。数直線の時の2よりウォーク次元が大きくなっており、通常の空間とは拡散のオーダーが異なるので、異常拡散と呼ばれます。

ランダムウォークとそのスケール極限を考えることで、さらに複雑な系の熱伝導も解析することができるようになりました。一例として、次のようなランダムな図形(ランダム媒質)を考えます。一辺の長さが2Nの正方形内の正方格子をとり、この頂点が全てつながり、しかもループがないように隣り合う点を長さ1のボンドで結んだグラフを考えます(図2参照)。このようなグラフを、長さ2Nの正方格子の全域木といいます。このような全域木はたくさんありますが、全域木全体から等確率で一つ取り出したランダムなグラフを考え、Nを無限大にしたものを二次元一様全域木と呼びます。このモデルは、シュラム-レヴナー発展と呼ばれる、今世紀に入って確率論に二つのフィールズ賞をもたらしたモデルに大いに関係します。ここでも、離散グラフの上にランダムウォークを構成し、然るべき時間と空間のスケールでスケール極限を取ることで、拡散現象を調べることができます。このようなランダムウォークもやはり異常拡散をし、ウォーク次元は13/5になることが最近の研究で分かりました。

ランダム媒質の上のランダムウォークの異常拡散現象は、この他パーコレーションクラスターやエルデシュ-レーニイのランダムグラフといった、相転移現象を起こすグラフの上でも詳しく研究されています。これらの研究は、例えば複雑系ネットワーク上でどのようにウィルスが広がるか、といった様々な応用につながる可能性を持っています。
ご興味のある方は,以下のURLの記事などをご参照ください。

京都大学 数理解析研究所

Creative Interspecies Conversations:
Art and Ecological Thinking
表現工学科 James JACK(ジャック・ジェームズ)

 

What can we learn from more than human species? Art

provides a method for understanding other species. I have

seen Chinu fish communicate feelings with each other and

Uguisu singing to talk to other species who are listening.

Earthworms tell stories to each other as they dig, eat

and reproduce inside of the soil. Some conversations can

be observed with our senses keenly attuned to other

species, and others require imaginative leaps based on our

own lived experiences. Artists including myself open

spaces for creative interspecies communication such as

a guide to loving water, to learn from living materials.

 

For example, observe a plant in your immediate
surroundings now. A round leafed Crassula ovata (kane no

naru ki) plant sits near me while writing this article with
bright pink buds preparing to blossom even in the

coldest days of winter. Recently each of my students

brought a plant and a story to class where we all learned

of intimate kinships with these living things as friends.

In kinship with the more than human world, ethnobotanist

Gary Paul Nabhantouches a plant each day to get away

from the computer. When we connect with plants away

fromour devices, we return refreshed in our digital

communications linked with other species. These

conversations can be inserted into the screens we are

on right now and shared through fresh waves of wifi.

 

Conversations with other species take colorful forms in

artworks. For example, “Shhhh! Plants Talking” artwork

displayed as part of lumbung: documenta fifteen

encourages us to shift our dailiy communications to

include botanic friends. This bright yellow artwork

displayed at facing a public street with frequent

pedestrians reminds humans to pay attention to plants

in our daily conversations. It existed within the ecosystem

of an upcycled shopping center repurposed to become

ruruHaus, the central hub of activity in this quinquennial

exhibit. The free admission public art spaces of ruruHaus

are alive with conversations over coffee beans, fishing

nets and brewed hops including activations by the

Composting Network my art collective is a part of.

 

The sea is also full of other than human species for us to

learn from. For example, in Setouchi (Kagawa Prefecture)

the Teshima Art Museum is an open teardrop shape

enhances human sensitivity to self in connection with

other species. Sounds of the wind, uguisu birds and the

occasional falling leaf resonate off the softly bleached

walls and floors of the museum designed by architect

Ryue Nishizawa and artist Rei Naito. A space that is both

indoor and outdoor at the same time, micro water droplets

are transformed into gigantic geological shapes inside of

this expansive space. On the nearby island of Naoshima,

the artwork Slag Buddha 88 – Eighty-eight Buddha

Statues Created Using Slag from Industrial Waste at

Teshima transforms human waste into sculptures of

healing for the environment. Artist Ozawa Tsuyoshi is

deeply concerned with the positive impact humans can

have on each other, plants and animals including a

current fascination with behavior of goats for a new

artwork.

 

As an artist and researcher, I communicate with what

Van Horn calls “other than human species” and share

these transmissions with others  in creative ways.

Deep listening to water, plants, seaweed, fish, birds and

more than human life nourishes ecological thinking.

Respectfully working with waves of wifi, I aim to spread

positive relations between species in exhibits, teaching

and publications. In symbiosis with other disciplines, art

opens opportunities to learn together in open ways

where sharing benefits diverse species and elements

involved in dialogue.

人工知能技術開発・運用の難しさ
基幹理工学部 情報通信学科 小川 哲司

スマートスピーカなどで使われている音声の認識や合成,日本語から英語へのテキストの翻訳,自動運転などで必須の技術であるカメラに映った人や車の検出や追跡などの分野では,人工知能(AI)技術\(\sf ^{(^*1)}\)が「成功を収めている」と言われています.これらの分野では,AIシステムを開発するために必要な大規模でかつ整理されたビッグデータが利用可能ですし,AIシステムが予測した結果はユーザに依らず同じで\(\sf ^{(^*2)}\),予測の根拠を説明する必要は必ずしもありません.

一方で,例えば,繁殖牛の分娩兆候を映像により監視する場合について想像してください.繁殖畜産農家にとって分娩事故の経済的損失は甚大なため分娩兆候の監視は必須であり,その負荷軽減のためにAI技術を利活用することが期待されています.しかし,家畜の映像ビッグデータなどは公開されていませんし,同じ映像でも分娩の予兆とみなすか否かは農家の運営方針により異なります\(\sf ^{(^*3)}\).また,分娩の介助のための意思決定を支援する以上,分娩兆候であると判定した理由を農家にとって直感的な形で説明することが求められます.実は現在のAI技術は,このような状況にめっぽう弱いのです.実運用のことを考えると,ビッグデータと深層学習技術さえあれば農家の役に立つ情報の抽出が「勝手に」できるようになる訳ではなく,そのための「仕組み」をシステム構築の過程に無理のない形で組み込んでおく必要があります.実状に照らして考えれば,農家の意思決定を支援するための映像監視システムには,

1) 大量のデータがなくてもシステムの構築・運用が可能である
  こと,
2) 監視映像は日々蓄積されるので,それらを用いて映像監視シ
  ステムを成長させることができること,
3) 映像監視システムの予測根拠をユーザ(農家)にとって直感
  的な形で説明可能であること,

が求められます.これらの要件を満たすための仕組みが適切に組み込まれていないシステムは持続可能な運用ができずに場当たり的な対応が求められ,運用の過程で非常に手間が掛かる可能性があるのです.

この家畜の映像監視のように,AI技術の利活用が進んでこなかった産業分野においてAIシステムを開発・運用するためには,機械学習・深層学習技術を利用するための根本である「データ」に頼り切ることができない場合がほとんどです.では,何に頼れば良いかと言えば,畜産・繁殖の専門家や農家が持つ「知識」や「経験」に頼らざるを得ないのです.ただし,農家の仕事の邪魔になるような頼り方をしては持続可能なシステムの運用はできないので注意が必要です.我々は,少量データに対する頑健性,運用の持続可能性,予測根拠の説明性といった要件を満たすような映像監視システムの開発・運用は,ユーザインタビューを通じた人間中心設計に基づく以下の4つのステップにより実現できると考えています.

1) 専門家(例えば,畜産農家)に対し,分娩介助を判断する拠
  り所\(\sf ^{(^*4)}\)について聞き取り調査を行う(農家とAI技術者の協
  業).
2) 専門家が拠り所とする情報をAI技術において扱いやすい情報
  に分解し,その抽出方法の設計,システムの開発を行う(AI
  技術者が担当).
3) 前段で得られた情報をもとに,分娩兆候であるか否か判定す
  る方法の設計,システムの開発を行う(AI技術者が担当).
4) 分娩兆候である旨を農家に通知するインタフェースの設計,
  開発を行う(農家とAI技術者の協業).

このアプローチでは,ユーザや専門家から提供された意思決定の拠り所となる知識を深層学習モデルやその学習プロセスに組み込むことを重要視しています.モデルの骨組みは知識として与え,知識で記述するのが難しいところはデータから学習するという考え方です.こうすることで,モデルの学習にビッグデータを必要とせず,ユーザにとって直感的な判断根拠もモデルから提示可能になるでしょう.さらに,ユーザが日々の業務の中,無理のない形でシステムにフィードバックを与えることで\(\sf ^{(^*5)}\),AIシステムがユーザの意図通りに(例えば,農家の運営方針に沿う形で)振舞うようになることも期待できます.我々のグループでは,これまでAI技術とは縁遠かった,畜産業や水産業,風力発電のメンテナンス事業,医療・看護などの分野で意思決定支援AIを構築・運用する試みを推進していますが,現場の方々と関わる中で,ここで述べたような人間中心設計の重要性を強く感じています.

AI 技術の進展は著しく,これまで人の経験と直感に頼り切っていた産業分野への利活用も現実的になってきました.ただし,その持続可能な運用は依然として容易ではなく,AIシステムを運用しながらユーザと共に進化するエコシステムを構築する必要があるように思います.そのチャレンジは,まだ始まったばかりと言えるのではないでしょうか.

  
(*1) より正確に言えば,機械学習・深層学習技術やその応用であ
  る各種メディア処理技術.

(*2) 例えば,ある音声の発話内容は聞き手に依らず同じはず.

(*3) 牛舎が自宅敷地内にある場合と離れた場所にある場合とで
  は,分娩介助に向かうタイミングが異なるため.

(*4) 尾の挙上,分娩房をぐるぐる回る,など.

(*5) 電子メールソフトウェアであれば,迷惑メールを通報する作
  業に相当する.

人工知能と科学技術の未来
基幹理工学部 情報理工学科 石川 博

今の人工知能ブームは2012年に始まりました。写真の理解は人間には容易ですが、特定の物ではなく犬とか猫とかの種類を認識する一般物体認識は、機械には不可能でした。そのコンペティションで10年前、大差をつけて優勝したのがディープラーニングという、現在のブームの火付け役になった技術です。なぜ一般物体認識が難しいかというと、例えば犬に見えるということの、一般の犬にあてはまり猫には当てはまらないような定義、いわば犬猫分別の法則を見つけることが難しいからです。それは今でもできませんが、ではどうしたのかというと、定義することはあきらめて、多くの例を機械に見せて、こういうのが犬だとわかってもらった、つまり機械に学習させたのです。何十年も研究されてきた機械学習がついに結実したのがディープラーニングでした。その後、視覚だけでなく音声認識、自動翻訳などに広く使われるようになり、スマホなどに実用化されました。

人工知能は、人間の頭脳の代わりを機械にさせるという長年の夢に一歩近づいた応用ですが、一方で機械学習は意外なところにも使われ始めています。例えばタンパク質の構造予測で飛躍的な高性能を実現しました。タンパク質は、約20種類のアミノ酸が一定の配列でつながった鎖ですが、その立体的な形は、細長い鎖というより、折りたたまれて複雑にからみあった塊です。無限と言ってよいほど多様なタンパク質の化学的性質や医薬品としての機能は、立体形状で決まります。例えばウイルスはタンパク質でできているので、感染性の解析やワクチン開発には、タンパク質の立体構造を知ることが重要です。また人間もタンパク質でできていますが、その一部が「間違って」折りたたまれるため起こる病気もあります。アミノ酸配列は遺伝子配列から決まるため、遺伝子の効果を知る上でも、アミノ酸配列からの立体構造予測は重要です。タンパク質を合成し電子顕微鏡や核磁気共鳴装置で立体構造を解析するには膨大な時間とコストがかかるので、シミュレーションで予測したいのですが、それに機械学習が劇的な性能向上をもたらしたのです。

これが機械学習の応用として意外なのはなぜでしょうか。アミノ酸の鎖がある立体形状に落ち着くような物理的過程を予測するには、その過程をシミュレートするのが普通の考え方で、実際従来は物理・化学の多様な知見を用いて予測してきたのです。ところが機械学習では、科学的知見・手法をほとんど使わず、入力(アミノ酸配列)と出力(立体構造)の関係を「学習」させます。入力から答えを当てさせ、正解と比べて、より近い答えを出すように人工ニューラルネットワーク(図)のパラメーターを少しずつ変えていくのです。イメージ的には、入力と大量の数字をよく混ぜ、出てくるものを見て、いい方へその数字を変えていくというもので、そこには法則のようなものは何もないのです。人工知能では、法則を見つけることが難しく長年苦心した問題が機械学習で解決されたのですが、多くの法則が知られる物理や化学で、それらを使わない機械学習が、法則と人知を駆使した手法を凌駕したのが意外なのです。

しかしこのような例は他にも次々と出てきており、基礎物理学の分野でさえ機械学習の応用がされはじめています。一般に我々の未来予測は、短期的には変化を過大に、長期的には過小に評価する傾向があります。新技術の想像がつきやすい影響は過大評価し、思ったほどでもないとがっかりしがちですが、長期的な影響は我々が考えるよりも大きいと思うべきでしょう。今は想像もできない、工学の常識を無視したような人工知能による技術が、50年後の世界にはあふれているかもしれません。